こんな役者は嫌われる

10年以上演劇をやっているといろんな人間に出会います。
一度会って、二度と会うこともない人もザラです。
かと思えば、気がついたらもう何年も経っているほど付き合いの長い人もいます。

そうやってさまざまな人と出会う中で、「座長」「演出家」という、「人を見る」立場からすると、「こういうヤツは周りから嫌われる」というタイプが分かってきます。


演劇のように複数の人間が集まってひとつのものを作り上げようとするときもっとも大事なのが、信頼関係。
つまり、「人の輪」。
一緒に芝居を作り上げていく仲間といかにうまく付き合うかが、芝居を成功させるカギのひとつとなるのです。
まあ、劇団に限らずどこの団体でもそうだとは思いますが。


我々のようなアマチュア劇団ではボランティア精神が基本ですから、お金で雇われてる役者などいません。
つまり「お金もらってるから仕方なく」やってる人間は存在せず、少なくとも、「芝居をやりたい」と自発的に思う人間が集まっています。

だからこそ「人の輪」が大事なのであり、これを乱すものはいずれ、どこからも受け入れてもらえなくなるのです。


具体的には以下のようなヤツですね。

空気が読めないヤツ

どこの世界でもそうですが、劇団でも同じです。
周りがしらけてしまうと、芝居にも影響を及ぼします。
ノリノリの雰囲気の時としらけた雰囲気の時とでは、まるで芝居の出来が異なります。

言わなくていいことを言う、誰とも口を利かない、調子がいい、感情の起伏が激しい等々、どうにも掴みどころのないヤツです。
演劇どころか、集団活動にそもそも向いてないタイプです。
おまえ二度と来るな!」って言われる、そんなヤツです。


世界に入ってしまうヤツ

芝居モードがオフのときはそれなりに周囲に合わせて接していますが、いったん芝居モードがオンになると自分の世界に入ってしまうヤツ。妄想タイプとでもいいましょうか。
これ自体は悪いことではないのですが、自分のペースで芝居をやりたがり、周囲の雰囲気に馴染むことができないため浮いた存在になる。
周囲の人間はそいつ一人のために使わなくていい神経を余計に使うので、ことのほか疲れます。

その雰囲気ってのは稽古場全体に流れますから、当人以外の稽古場にいる人間は全員気づいています。
気づいていないのは当人だけで、別段、迷惑をかけているわけでもなく稽古そのものは真面目にやっているので、他の人間が気を遣わざるを得ないというわけです。


ボランティア精神を逆手に取ったヤツ

好きで集まってる(カネで雇われているわけではない)のをいいことに、立場をわきまえないヤツ。
こういう人間がいると役者も演出家もあったものではありません。
役者が勝手に暴走し、演出家の言うことを聞かなくなるばかりか、自分が演出家にでもなったつもりであれこれ指示を出しはじめます。

演出家ってのは、ただの「まとめ役」じゃないんですよ。
「エラソーに指図しやがって」と思ってる役者もいるかもしれませんが、演出家ってのはあなたが思ってるよりもいろんなことを考え、いろんなところに神経を使ってるんです。
舞台上で演技をしている役者には決して気づかない部分も、演出家は計算に入れながらやっているんです。

また、他の役者も誰の言うことを聞き入れてよいのか迷うことになり、結果的に迷惑をこうむることになります。


個人的な趣味を持ち出すヤツ

ひとつの脚本には、演出家の数だけのストーリーがある」ように、演出家のイメージはそれこそ千差万別です。
そこにこそ演出家の、ひいては劇団の「」というものが存在するのです。
そこへ何も知らない役者が個人的な趣味で「ああしたい」「こうしたい」「これはやりたくない」「それはやりたくない」などと、勝手な注文をつけるヤツがいるのです。

こんなのはそもそも言語道断なわけですが、そればかりでなく、演出家の頭の中にある一本につながったイメージが壊され、場合によっては再度組み立て直さなければならないのです。
それによって、本来演出家がやりたかったことが徐々に薄れ、最悪、やりたかったことがまったくできなくなってしまう恐れがあります。
それではなんのためにその公演を打とうとしたのか、意味をなさなくなります。
本末転倒です。

役者が意見を言うのをダメと言っているのではないんです。
意見を言うのはかまわない。
むしろどんどん言うべきです

しかし個人的な趣味や好き嫌いを言うべきではないのです。
そんな役者は注文どおりの演技ができない「ヘタクソ」か、あるいは演出家の意図が汲み取れない「ワガママ」かのどちらか、あるいは両方です。


劇団にはそれぞれ、その劇団なりのやり方雰囲気ってのがあります。
そのやり方や雰囲気こそが、その劇団のカラーの根源です。
つまり、どういう芝居をやる劇団なのか、どういう考えの劇団なのか、あるいはその劇団の存在意義そのものでもあるのです。

それを根底からくつがえす、人の輪を乱すような人間は、二度とその劇団から声がかからなくなります。
そうやっていろんな劇団を渡り歩いた末、その人間はどこからも声がかからなくなります。

それでも芝居をやりたいやつは自分で劇団を立ち上げます。
人を集めるが、どうにもうまくいかない。
たった一回こっきり公演を打ったまま自然消滅、という劇団を私はいくつも見てきました。


バカは死んでも治らない」という言葉がありますが、人の輪に馴染めない人間はどこに行っても馴染めず、しまいには芝居を続けることができなくなるのです


私を知る人は誰のことを言っているかだいたい察しがつくと思います。
しかしそれは単独の誰かではなく、何人もいたそういう人たちのうちの一人なのです。

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コメント

私も同感!
でも、輪を乱す人って、自分が輪を乱してることに気づいてないんだよね。
その図太い神経が羨ましい。

そう。だから余計に厄介なんですよね。
逆に自分で分かってるヤツはとっくに気づいてるので、問題児ではないわけです。
ご苦労お察しします(笑)。

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